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《フォトスペース・風の会》写真展「新風――在日コリアンと日本人の結婚家庭」
(『アサヒカメラ』1995年7月号、朝日新聞社刊)
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私たちは、自分の「隣人」たちについてどれだけのことを知っているのだろうか。そんなことを考えさせる写真展が東京・中野のガード下の街頭ギャラリーで4月26日から5月24日まで開催された。
 「新風シンパラム――在日コリアンと日本人の結婚家庭」と題されたこの写真展は、写真を通じて在日コリアン(朝鮮・韓国人)の問題について取り組んでいる「フォトスペース・風の会」(代表・金正坤キム・チョンゴン]氏)によるもの。このグループは、自主運営ギャラリーのはしりともいえる「コネクト・イン」(1974−76)のメンバーだった金氏を中心として78年に発足、中断とメンバーチェンジを経ながら、写真誌『パラム(1979−82)の発行や、「外国人登録証」用写真実費撮影、ニューズレターの発行等、地道に活動を続けてきた(現在では、20−30代の日本人の写真家たちと、共同で会の運営にあたっている)
 今回の写真展は、「戦後50年に“内なる国際化”をさぐって」というテーマを掲げ、これまでにこだわり続けてきた「在日コリアンの日常のはざまから、とりわけ普通の人々のごく普通の生活を記録すること」という、これまでの活動をさらに推し進めて「在日コリアンと日本人の未来の共生」を考えようとしたものだという。
 街頭のショーケースでの展示というアイディアは「ギャラリーにはギャラリーのよさがあるが、写真好きの人や在日に興味を持つ人ばかりにではなく、そういう意識のない人々にもこれらの写真を見てなにかを考えるきっかけにしてもらいたかったため」という。
 この写真展の一環として5月14日には在日二世・三世の在日コリアン文化研究会による農楽隊パレードが行なわれ花を添えた。伝統的な衣装に身を包んだ男女が楽器を鳴らしながら街中をパレードし、「風の会」のメンバーが各自の撮影した写真を持ち歩きながら、写真展と当日行なわれるフリートークの案内を配ってゆく。そのあとは撮影者と被写体になった人々とを交えてのフリートークがあり、撮影の時の裏話から在日コリアンの日本名と本名をめぐる葛藤にまで話題が広がった。
 「普通」に暮らすことで否応なしに社会的なさまざまな制約(たとえば戸籍の問題や「外国人登録証」の常時携帯、指紋押捺、アパートの入居拒否など)に対峙し、それを自覚せざるをえない〈在日であるということ〉を生きる人々の姿を、なんらかのある特定のイメージに縛りつけない、風通しのいい写真には好感が持てた。そうしたなかに取材拒否をした人々の住む街のスナップ写真も同時に展示され、いろいろと考えさせられた。この「見えない」姿もまた、そうした在日の「日常」なのだ。私たちはこうした隣人たちの姿をどれだけ知っているのだろうか。