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「ゲリラ・ガールズ展」
(『アサヒカメラ』1996年10月号、朝日新聞社刊)
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ゲリラ・ガールズ!! またの名を「美術界の良心」(笑)
 ニューヨークを拠点に1985年に誕生、公衆の面前にはつねにゴリラのマスクを被って登場し、構成メンバーも人数も全く不詳。芸術における性差別、人種偏見、検閲をユーモアと皮肉たっぷりに暴く「文化的テロリスト」。彼女たちは、ポスター、ステッカー、雑誌広告、屋外広告板ビルボードとさまざまな媒体を使い、「芸術」というイデオロギーをフェミニズムやマイノリティの視点から読み解き、転覆をはかるアート・アクティヴィズムを強固に、そしてしつこく展開している。そのゲリラ・ガールズの85年から90年にかけてのポスター作品を集めた展覧会が東京のオオタファインアーツで開催された(8月1−10日)
 GG の作品では、国勢調査や美術雑誌からの引用と比較、そして転用によって、この社会で等閑視された、さまざまな差別の現実がヴィジュアライズされる。
 〈女性はメトロポリタン美術館に入るには裸にならなければいけないのか? 女性作家は近代美術部門の5%以下だが、裸体画の85%以上は女性である〉
 〈ゲリラ・ガールズ・ポップ・クイズ Q:2月は黒人歴史月間、5月は女性歴史月間です。さて、そのほかは? A:差別月間!〉
 〈まず彼らは女性たちの選ぶ権利を奪おうとする。いまや芸術が検閲されている〉
 こうした辛辣なメッセージは GG の真骨頂だが、では、日本のシーンはどうだろうか。かつての「超少女」ブームや、最近では Xガールの抬頭が喧伝されているが、ほとんどの場合それは男性の評論家たちによって鼓舞されているものであるおと、そしていうまでもなく、そうやってアーティストや写真家たちにスポットをあて消費する一方で、持続的な発表や活動の場から女性たちが排除されているといったセクシズムの構造は、GG が攻撃対象とする社会の実態とそれほどかけ離れたものではないだろう。
 なお、インターネット上でも GG のホームページにアクセスが可能(http://www.voyagerco.com/gg/)。ここでは作品のほかに、彼女たちへの熱烈なラヴ&ヘイト・レターが公開されている。