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「なら サマー・フォト・ワークショップ」レポート
(『アサヒカメラ』1997年10月号、朝日新聞社刊)
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「展覧会やワークショップを通して、幅広い写真の楽しさを次の世代に伝える」ことを目標に、92年11月から継続的に開催されている「なら サマー・フォト・ワークショップ」が、8月4日から15日にかけて奈良市内で開催された。
 この「ワークショップ」は、奈良県在住および近隣府県の若い写真家が中心となって運営していっるもので、今回で既に14回目を数える。年に数回、単発のワークショップが行なわれているほか、93年8月からは2年に1度「なら サマー・フォト・ワークショップ」の名称で、世代や地域を横断する小規模ながらユニークなフェスティヴァルとなっている。
 今回は会期中に3つのワークショップと4つの展覧会、そして写真評論家の平木収氏によるレクチュアや交流会などが行なわれた。
 9日には小型カメラを風船で空に浮かばせて空中撮影に挑戦したり(糸が切れてカメラのひとつが行方不明になる一幕もあった)、8×10や4×5のカメラでの撮影やピンホール・カメラの製作と撮影といったワークショップが行なわれ、定員を大幅に上回る約90人の参加があった(このワークショップで撮影された写真による作品展も会期中に行なわれている)
 また、中学生をはじめとして写真に初めて触れた人たちを対象とした「ファースト・ピクチャーズ」展、アンデパンダン形式の「フリーダム '97」展、そして若い写真家たちの作品を積極的に紹介する場ろしてこれまでにも各地で開催されてきた「ヤング・ジャパニーズ・フォトグラファーズ(YJP)」展がそれぞれ開催されたほか、各自が自由にポートフォリオを持ち寄り、ゲストや観客が互いにそれらを合評する「写真茶会」も多数の参加者で賑わった。
 スタッフ全員がヴォランティアというこの「ワークショップ」の特色は、手作りならではの親近感と、参加者のネットワークの広がりの豊かさにあるだろう。例えば、以前「東川町フォトフェスタ」にヴォランティアで参加していた青年たちや、写真集『essence2』を発行した東北地方の各大学関係者、インターネットのメイリング・リストで知り合った人々が全国から集い、これらの人々がスタッフや参加者の別なくこのイヴェントを作り上げていく様子は、オフィシャルな企画ではもちろん、それ以外にもリポートがオンライン上に掲載され(http://www.big.or.jp/~photo/)、自主企画のスライド上映が行なわれるなどの活動が派生していることからも垣間見ることができる。
 2年後の再会を約束したこの人々のネットワークが、今後どのように育まれるのかが楽しみだ。