斎門富士男 (『文藝別冊 J-フォトグラファー』[J-フォトグラファーズ・ファイル]、2000年、河出書房新社刊) |
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初期の、柔らかいトーンのトルコ民衆のポートレイトから、昨99年に精力的に発表したカラーの女性ヌードまで、彼の作風は一見、大きく変化している。けれどもそれは、かつて中央アジアから中近東をはじめとする諸外国を放浪し「他者」とのかかわりをフィルムに収めようとしてきた写真家が、同時代の状況へと没入していくなかで、より身近な「他者」(とりわけ「女性」)を「発見」し、対峙することで対象に対するスタンスが必然的に変化してきたということなのだろう。だとすれば、確かに彼の「作風」は大きく変わったと言えるだろうし、逆にその内面は何も変わっていないとも言える。おそらくこうした両義性は、彼の写真に一貫して見いだせるのではないだろうか。そのことは彼の写真にどのような評価を下すにしても無視できないことのように思える。
ただひとつだけ気になるとすれば、彼の視線に常につきまとうオリエンタリズムの感覚だろう。他者のイメージを定位する視線に無頓着な、写真家のナイーヴさがそこには垣間見られるのではないだろうか。 |