安田千絵 (『文藝別冊 J-フォトグラファー』[J-フォトグラファーズ・ファイル]、2000年、河出書房新社刊) |
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風景のミニアチュールであるかのようなモノクロームの作品を、彼女はこの数年間、コンスタントに発表してきた。それらは室内のシャンデリアや廃屋(?)のなかの光景、屋外の草木等、モチーフをそのつど替えながらも、印象としてはそれほど大きく違わないものだったように思える。どこかしら閉ざされた「区域」へと向けられた視線を辿るかのように促される、ごく微量な変化しかない複数の画面を並列した展示のインスタレイションがその印象をさらに強めてもいたのだろう。撮影時のゆるやかな視線の移動を再構成し、そのままに呈示することについて、彼女は〈見たかったり、撮りたかったものがたくさんあるのに、連写したもののなかから一枚しか選ばないことに疑問を感じて〉いるとコメントしている(『SAP Journal』2号より)。昨年暮れの彼女の個展ではカラーとモノクロームの作品を並列するなど、よりその「限定」を解除する指向性が認められたが、箱庭的ともいえるその画面のスタイルから一歩を踏み出すときこそ、その試みが十全に展開されるのではないだろうか。
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